賃貸マンションを借りると「保険に入ってください!」と言われます。
そして、聞きなれない名前の保険加入をすすめられます。
説明を聞いても、分かったような分からないような・・・。
そんなことにならないように、予習しておくと安心ですよ。
今回は、賃貸マンションの火災保険について解説します。
では、さっそく説明していきます。
賃貸マンションの火災保険とは?
賃貸マンションに入居するとき、加入できる損害保険がいくつかあります。
それらを総称して「火災保険」と呼んでいます。
- 家財保険
- 借家人賠償責任保険
- 個人賠償責任保険
- 地震保険
それぞれ、誰のための補償なのか対象が違います。
ザックリ言うと、下の表のようになります。
保険の種類 | 誰のための補償? |
---|---|
家財保険、地震保険 | 自分(賃借人)のため |
借家人賠償責任保険 | 大家さん(賃貸人)のため |
個人賠償責任保険 | 上下やお隣に住んでいる人のため |
それぞれ、もう少し説明していきましょう。
賃貸マンションの家財保険・地震保険とは?
賃貸マンションでは、建物を補償する保険は大家さんが加入します。
そして、入居者の家財を補償する保険は入居者が加入します。
この「借主の家財を補償する保険」が家財保険です。
家財保険は、主に以下の事故の補償になります。
(ただし、保険会社により内容に違いがあるので、約款も確認しましょう)
- 火災
- 落雷
- 破裂
- 爆発
家財保険に加入していると、上の事故で損害保険金が支払われます。
また、保険会社によっては片づけ費用や損害防止費用が出るところもあります。
- ポイント
- 地震や津波などを原因とする火災損害は、家財保険が適応されません。それを補うのが、地震保険です。
- 地震保険は、火災保険に付帯して契約します。単独では、加入できません。
なお、賃貸マンションの火災保険では、家財保険がベースになります。
借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険は、家財保険にくっつける形になります。
つまり、借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険は、単独加入できないのです。
家財保険は、かけ過ぎ注意!
家財保険で支払われる損害額は、再調達価額を基準に計算します。
「再調達価額」とは、同等の家財を再購入するために必要な金額のことです。
つまり、入居者は持っている家財の再調達価額を基準に加入すればいいのです。
なぜなら、もし火災になっても再調達価額以上の保険金は受け取れないからです。
- ポイント
- 保険会社のパンフレットなどに載っている「再調達価額の目安」は、高すぎることがあります。
- たとえば、20代シングルの家財が300万円と評価されているものも・・・。
再調達価額は「100万円~200万円で、じゅうぶん」という人も多いでしょう。
家財保険は、自分に合わせて保険金額を設定しましょう。
保険金額を下げれば、そのぶん保険料も安くなります。
賃貸マンションの借家人賠償責任保険とは?
失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)という法律をご存知ですか?
失火責任法では、失火者に重過失がなければ損害賠償の責任を負わなくてよいことになっています。
- 失火ノ責任ニ関スル法律
- 民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
- (民法第709条の規定は、失火の場合には適用しない。ただし、失火者に重大な過失があったときはこの限りでない)
では、賃貸マンションの場合は、どうなるでしょうか?
わざとじゃない出火なら、大家さんに損害賠償しなくていいのでしょか?
これは、結論から言うと「賠償責任あり」です。
なぜなら、入居者は賃貸借契約により原状回復義務があるからです。
つまり、本来の状態に戻して返さなければいけないということです。
そこで、この賠償責任に対応できるのが借家人賠償責任保険です。
借家人賠償責任保険は、以下の事故の補償になります。
- 火災
- 破裂
- 爆発
- 水濡れ
ただし、保険会社により内容に違いがあるので、約款も確認しましょう。
賃貸マンションの個人賠償責任保険とは?
個人賠償責任保険は、他人の家財を損壊させた場合の補償になります。
事故で他人をケガさせたときにも使えます。
個人賠償責任保険の保険金は、以下のものに支払われます。
- 損害賠償金の額
- 損害賠償責任の解決に必要な裁判費用
たとえば、こんな時に使えます。
- 洗濯機のホースが外れ、排水が漏れたことで階下の住人の家財を濡らしてしまった。その結果、弁償を求められた。
こんな時にも使えます。
- 自転車で駐車場に停まっていた他人の車にぶつかり、車体に傷をつけてしまった。その結果、修理費用を請求された。
こちらも、保険会社により内容に違いがあるので、約款を確認しましょう。
賃貸マンションで、入居者がまず加入するのは家財保険。
さらに、借家人賠償責任特約と個人賠償責任特約も付けておくと安心です。
ただし、必要な補償額を見極めて加入することが大切です。